よくある質問
Q : 書道が上手くなるのにどのくらいかかりますか?
A : 他の色々なモノと同じ様に、書道も努力したらした分だけ返ってきます。やる気次第では数ヶ月で成果が現れます。書道を極めるには長い年月、もしくは一生かかるかもしれません。上達に限界はありません。そして、それこそが続けて行く上での最上の喜びだと思います。何かを習得するために費やされた時間は楽しく、そして実りあるものでないといけません。書の道もまさにその二つを体験できる素晴らしいものです。是非一度試してみて下さい。
Q : 書道とその技についての哲学ってなんですか?
A : 書道は日本の他の文化・芸術と同じ様に内向きの、深さを求める部分があります。書道の練習をする人は、芸術としての美しさを求めるだけでなく、自己成長への道として取り組む事も多くあります。そのため、書道では椅子に座って書いていても、床に座って書いていても、書く姿勢というのが重要となってきます。
まず第一に、あなたが左利きであったとしても、書道では右手で書く事を学びます。筆の持ち方は様々です。自分にあった持ち方を模索する事が出来ます。一般的には、ペンを持つ様に筆は筆の真ん中辺りを持ちます。垂直に持つ事も出来れば45度の角度で持つ事も可能です。肘は外向き、手は宙に浮いている状態でもう片方の手で紙を押さえます。しかしながら、小さな筆を使う場合は手を紙の上に置いて書く事は可能です。背筋は真っ直ぐ、目線は紙と一定の距離を保つ事が大切です。
書き始めると瞑想をしているかの様な感覚に包まれます。外の世界は消えてなくなり、あるのは自分と筆、墨、半紙、そして呼吸だけになります。頭の中で言葉は消え去り、ひとつひとつの線を書く事に没頭して行きます。過去も未来も忘れ、今この瞬間に集中している時間というのは簡単に口で説明できるものではなく、自分自身で感じる事が大切です。
楷書体で書く場合も筆の弾力を使います。それぞれの画は「 トン・スー・トン 」というテクニックを使い、引くよりも押すことに重点をおいています。太い線を書くときはトンの部分を力強く、細い線の場合はトンの部分を小さく繊細に書きます。筆の角度をきめてスタートよりも後半の圧度を強くした方が線が強くなります。
草書スタイルで書く場合、筆の全てを使って書く事が重要です。これを可能にするのが手首の動きです。しかしながら、特にたくさんの文字を速く書いているとき等は、筆を垂直に保ったままなるべく少ない手首の動きでかく草書スタイルもあります。
行書スタイルはその美しく流れる様なスタイルで人気です。その他にもたくさんの種類の字体が存在します。行書は誰にもなじみのあるスタイルで容易に読む事が出来ますが、筆が紙から離れずに簡略化されていて、芸術性の高い草書スタイルは読むのが困難です。更に書道家一人一人が文字に対して独自の表現を持っています。「墨は5つの色が存在する」と言われ、一人一人の表現の自由は無限である事を意味しています。
Q : アート書道とは何ですか?
A : 私は伝統的な書道のスタイルを学び、作品の大半は伝統的な書道の領域内に収まりますが、現代的な書道のスタイルが今日発展を続けています。私自身もその現代的な書道のスタイル「アート書道」の作品づくりも行っています。現代美術として捉える人もいますが、ほとんどのスタイルが抽象的な線を用いているだけでなく実際の漢字をを使用してつくり出しています。私のスタイルは過度に前衛的にならず、一字か二字と言う少ない文字数で筆全体を使ったアート書道をつくり出しています。
Q : 日本の書の歴史とは?
A : 日本の書のルーツはご存知の通り中国にあります。約3500年前に占いや予言用に貝殻や骨に彫って使用する象形文字のシステムが生まれたと言われています。
書についてのよくある誤解は、ほとんどの、もしくは全ての文字は物体の形から出来ているということですが、実際は使われていた6つの方法の中でも象形を使った方法は少なく多くの文字は形声という構造から出来ています。
多くの書の進化は時に芸術的に、時に実用的な署名として使われた篆刻から見て取れます。その後言葉が墨と筆で竹や木、絹等に書かれるまでには長くの時間を要しませんでした。その時点で既に様々なスタイルが生まれていて、その後も多くのスタイルが生まれる事となります。現在使われているスタイルの中でも一番多く使われる3つのスタイルが、「楷書」、「行書」、「草書」です。
西暦600年頃、日本に書道が伝えられた頃には書き方の基本は既に出来上がっていました。その中でも最も重要と言えるものが左から右へ、上から下へというように順番を示した「筆順」でした。
中国語が朝鮮半島を渡り日本に着く頃には、日本には既に確立された自国語がありましたが、書のシステムはまだ存在しませんでした。こうして漢字が生まれましたが、現在の形に進化するまでには長い年月がかかりました。漢字から生まれた重要な表現として、漢字の伝来から約100年の間に生まれた「かな」があります。
1000年以上前に平仮名と片仮名は漢字から派生して生まれました。平仮名、片仮名ともに45の文字があり、外来語に使われるものを片仮名と呼び、楷書体できっちりと書くのが基本です。その他の単語で外国語ではなく、漢字で書かれていないものに関しては平仮名使って書き、行書、もしくは草書で書かれます。今日では、漢字、平仮名、片仮名の3種を混ぜ合わせて使います。
そのため日本語の習得はご想像の通り少し難しいと言えるでしょう。更に平仮名、片仮名と違い漢字にはそれぞれ音と訓の両方の読み方が存在します。
Q : 書道の道具とは?
A : 書の道「書道」に必要なものはそんなに沢山ありません。まずは筆、そして墨、半紙です。そしてその他の大事な道具として、墨をつくるるための硯、紙を押さえるための文鎮、そして筆置きです。
Q : 筆は何から作られているのですか?
A : 書道の筆の柄の部分は木やたけでできていて、毛は羊、狼、イタチ、馬等の動物の毛が使われています。その他にも角や、象牙、金、ダチョウの羽、象の耳の毛、キリンのまつげ等の珍しい素材で創られているものもあります。ここ日本では子供の初めての散髪で切られた髪を使って筆を作る興味深い伝統もあります。
日本での最高級の筆は広島の近くにある熊野と言う場所で作られています。大きな筆から小さな筆、長いものから短いもの様々な筆がここでは作られています。巨大な筆を使う事はコスト面でもスペース面でも困難な場合が多いため、多くの人は小さい、もしくは中くらいのサイズの筆を使って練習をします。
職人とその作品について言える事は、良い書道家は悪い筆でも良い作品を作る。悪い書道家は良い筆でも良い作品を創れない。プロの書道家が最高級の筆を使えば最高の作品が出来ると言う事です。墨にしても同じ事が言えます。
もし筆が「言葉」なら、墨は「声」と言えるでしょう。言葉が表現されるトーンですね。墨は微細な、しかしながら深い次元で書道家の作品を豊かにします。そしてそれはその作品を永久に残して行くための大事な役目を担っています。
Q : 墨は何から作られているのですか?
A : 墨は2000年以上も前に中国で発明されました。墨は木(松等)や菜種油、大豆油等様々な素材を燃やす事によって作られます。その後はすすを抽出し、動物の脂肪などと一緒に練り合わせ、形を整えたら乾燥させます。そこからできあがったものが墨となり、少しの水とともに硯で麿ると墨汁が出来上がります。麿りかたによって濃さに変化が出てきます。
墨の色は書道家によって選ばれますが、力強い存在感とはっきりとしたコントラストの表現できる黒がダントツで人気です。青や紫が入ったものが使われる事もあります。先生として生徒の作品を添削する場合には朱色が使われます。
Q : 紙は特別な紙を使いますか?
A : 紙は書道家にとって3番目に大事なものです。中国の4大発明のひとつである紙は墨と同じ長さの歴史を持ち、絹に取って代わる大切な発明でした。紙は桑、米、竹、麻、そして麦からも作る事が出来ます。日本には和紙と呼ばれる独自の紙があり、様々なものに使われています。数え切れない程の色の紙が存在しますが、白、もしくはオフホワイトが好まれます。
紙には様々な質感、厚さがあり、通常の書の作品用、掛け軸用、提灯用、更にはドアにまで使う事が出来ます。書道家は紙以外でも何にでも書く事が出来ます!
Q : 完成された書の作品に取って篆刻にはどのような役割がありますか?
A : 篆刻はそれ自体がひとつの芸術であり、プロの書道家の多くは篆刻に関しても卓越した技術を有しています。主に柔らかい石が使われますが、牙や角、木等も使われます。素材はまず磨かれ、作者の名前を主に篆書スタイルで書きます。その後印刀で彫って行きます。印は作者自身のシンボルであるとともに、書の作品を完全なものにするもうひとつの芸術作品でもあります。
Q : 日本の書道の未来は?
A : 現在日本の書道は新たな方向性でその可能性を広げて行っています。そしてそれはこの先も続いて行く事でしょう。書道は自分と向き合い表現して行く芸術です。作者にとってその表現方法は無限の可能性を秘めています。
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